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とある山へきた千里達は銅色の土の断面を見上げていた。
小川を挟んで後ろ側にも同じように土の断面がある。
昔授業で貝類の化石探しをした事があったのを思い出していた。
「とりあえず、色のついた石を見つけりゃいんだよな」
ランクの足元に、ちびちゃい生き物がわらわらしていた。
拳3つ分くらいで、腕が四本、細長い尻尾、顔は面というなかなか気味の悪い生物だ。
千草以外、顔をひきつらせてそれを見下ろした。
「ランクさんの、お友達さんですか?」
なんて茶化したら照れくさそうに頬をかいた。
「見た目よか力持ちなんだ。俺の菓子と交換で何でもしてくれるぜ?」
「そうなんですね」
「ちーちゃーん、ほっていい?」
スコップを手にした隆哉が焦れったそうに土をさしている。
慌てて側に寄った。
「怪我しないでよ」
「しないよー」
スコップという鈍器を振り回す隆哉にひやりとした。
魔石を掘り出し始める一団に、由鶴がため息をついた。
「地味な作業ですね」
「はい。魔石は手作業の方がいいんです。魔法で取りだそうとして、魔石の力が発揮されると困りますから」
アーツベルトは腕まくりをしながら答える。
せっせと石をどかすシンシアを愛しげに眺めていた彼は不意に由鶴へ視線をむけた。
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