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「高校へ行って、もっと良ければ大学も行った方が働いてる時のお給料はいいのでしょう?そんな焦ることはないんじゃないかしら」
温かなココアが入ったマグカップが千里の元まで浮かんできた。
魔法が使えるようになって、アルを始めとする何人かの態度が若干優しくなった…。
態と…ではないのだろうけど。
包み込むようにマグカップを受け取った千里は寂しそうな顔をした。
「私、特に学びたいことってないんです。興味があるものはあるけれど、趣味の範囲でいいかなって。何かを学んで続けられる自信もないし」
そっとココアに口をつけて一口飲むと、心の芯までじわりと暖かさが広がった気がした。
「タカは何処にいきました?」
「由鶴ちゃんや千草ちゃんと別室にいるわ。学校の宿題するんですって」
「そっか。じゃあちょっと見てきます」
まだ並とココアの入ったマグカップをアルに手渡して、千里は妹達を探しに部屋を出た。
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