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「ちぃ~…!」
鼻水ずるずるで涙で顔がぐしゃぐしゃな隆哉が飛んでくる。
仕方がないなぁ。
抱き止めると、ポケットからティッシュを取り出して鼻をかました。
「何喧嘩してんの」
隆哉よりもお姉さんの千草と由鶴を軽く叱る。
ぶすっとした顔の千草が隆哉を睨みつけながら言った。
「宿題で遊んでやれないっていってるのに、五月蠅いし、引っ張ってくるし、しつこくて」
「止めたかったんだけど二人とも言うこと聞かなくて…」
今度は今にも涙を流しそうな由鶴の言葉だ。
そうと応えて千里は隆哉の顔を覗きこんだ。
「隆哉、あんまりお姉ちゃんの邪魔しちゃだめでしょう」
「ん゛~~~~」
嫌々と駄々をこねる隆哉に千里は嘆息した。
「とりあえず散らかったこの部屋を片付けて帰るよ」
「おやつー」
「…………帰りに何か買おうね」
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