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いつもと変わらない朝。
毎朝のように俺は悠子と一緒に高校へ向かっていた。
いつもの鳥の声、いつもの町並。
そんな毎日に飽きている俺。
今日もこのままなにもなく学校へ行って、つまらない授業を受けて帰るんだと思うと憂鬱になる。
俺はつまらない日々を変えたいと思っていた。
(誰かに頼られもしない俺だしな……。)
「純ー今日髪はねてるねー。」
「あーそーだな。」
そんな学校に行くのも悠子のためだ。
悠子のためというより俺のためだが。
毎朝悠子と二人で学校に行く、悠子の笑顔が見られる。それが嬉しくて今まで学校へ行っていたようなものだった。
なのにその幸せな時間は壊された。
キキィィイイイ ドンッッ
鈍い音が町中に鳴り響いた。
俺の目の前には赤く染まったものが横たわっていた。
クラクラする。頭が痛い。体が動かない。
目の前でおこった出来事を認めたくなかった。
「キャーーーッ!!!」
近くにいた女性の声でハッと我にかえる。
「きゅ、救急車!!」
数分後にはあのサイレンが近づいてきた。
俺は立ち尽くすことしかできなかった。
救急車へ運びこまれる悠子。
何も声をかけられなかった。
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