お金

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朱美は大事な友人、そして初めて私の彼氏となった祐介と3人で深夜、首都高に走りに行く。 祐介は兄の健哉の友人で、私が中学生のころ。告白され、まずは友達からよろしくお願いしますと返事をしてから付き合い始めた。 当時、健哉も祐介もバイクを乗り回し、峠を攻めに行っていた。走り屋チームをつくって楽しそうだった。 お兄ちゃんは暴走族なの?と聞くとばか、暴走族と走り屋は違うんだよ。暴走族は人に迷惑をかけるけど、俺たちはスピード狂なだけなんだ。 スピードを出すと風のむこうが見えるんだ。お前にも見せてやる。 そういう兄を眩しく見ていた。私に風のむこうというものを見せてくれることはなかったのは、バイクの危険さを知っていたからだと思う。 成人すると健哉も祐介も車の走り屋になっていた。
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