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祐介の運転で朱美が助手席、私が後部席
スピード上げるからシートベルトしろよと祐介。
朱美が返事をすると、お前はいいんだよと笑いながらふざけていた。
いきなり息ができなくなった。気づくと車内は真っ白。私は車から降りてひざまずき、空気を吸わなきゃと必死だ。
ここは首都高のトンネルの中のようだ。薄黒い空気を手に入れて落ち着いてきた。
冷静になり考えたらすぐにわかった。前の車に追突して、その衝撃でシートベルトが胸を圧迫し、真っ白な車内はエアバックが出たためだと。
祐介が大丈夫か?と
うんと返事すると、お前だけが心配なんだ。
お前だけが?
死にたいとよく言っていた祐介。
まさか…………………。
朱美を殺そうとしたんじゃないか。祐介も死んでもかまわないと。
後部席のシートベルトをした私だけが助かる。
というシナリオを祐介は描いていたのでは?
と思えてならないのは、考え過ぎだろうか。
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