彼女の秒針は止まったまま

act1

朝。

騒々しい目覚まし時計の音によって僕の脳に電撃が走り、段々とその感覚に慣れていく。

カーテンを開けると暗闇に慣れていた僕の眼を刺激する光が溢れ出してきた。

晴れ。

飽きれるほどの晴れ。

確かこういうのを日本晴れというんだっけ。

だが僕はこの天気が嫌いだ。

その燦然とした輝きによって自分の心の闇を公に晒すようで嫌だった。

キラキラという擬声をつけてもおかしくないほどの輝きを放つ太陽を恨めしげに見つめ、起き上がる。

卵焼きの匂いと鼻歌が聞こえるので下のキッチンで母が朝食でも作っているのだろう。

「……あふぅ」

短い欠伸をしながら制服へと着替える。