恋物語

正反対。

「なぁ」
「なに…？」
「今度から、さっきみたいな爆弾発言、やめてくんね？」
「…こっちのセリフだから」
「は？俺だし」
「あたしだもん」

「「……」」

憎まれ口を叩き合いながら思ったんだ。

確かに麗華ちゃんとあたしは“正反対”だ。
素直じゃないし、可愛くもない。

けど、黒田の照れ隠しの仕草を見れるのも、隣でこうして手をつないで居られるのも、あたし一人。

あたしの特権だから。

どこが好きか、なんて聞かない。
そんなのいいんだ…。

黒田が、他の誰でもないあたし自身を好きでいてくれるのなら、それで十分なんだよね。

あたしって…バカだなぁ。

事が起きた後にしか気づけないなんて。

バカ、と黒田に連呼されているのに、にやにやしてしまったあたしは…きっと変な奴に映ったんだろうな。