すれ違い

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「由衣、バスケ部に差し入れ持っていかない?」 「ええっ」 「ええって……、そのつもりで取っておいたんでしょ?調理実習で作ったクレープ」 真衣がきょとんとしている。 いや…まぁ、そうなんだけど……。 「なっ…そういうことだったのか!どーりでおかしいと…。 ……そうだよね。甘いもの好きの由衣が黒田以外の人にクレープを渡すはずもない…」 「な訳あるかっ!!そんなに食い意地はってないわ!」 実夏のボケに突っ込みを入れるあたし。 これじゃまるでコントだ…。 「で、どうする?私は勿論あげに行くけど」 さ、さすが真衣。いつもあたしより先に行動に出る。 師匠だ…! 「い…く…」 あたしだって彼女だもん! …彼女……。 ………えへ。うふふっ! 未だなれない響きに幸せを感じながら、あたしはバスケ部の練習している体育館へ向かった。
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