すれ違い

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体育館の中へ入ると、密室のむんむんした空気が漂う。 「あっつー。こんなとこでやってんだねぇ」 「あっ、今丁度休憩みたいだよ」 ぐい、とあたしを引っ張りながらバスケ部のところへ向かう真衣。 ええっ、もう行くの!? 緊張する…。 「あれ、香川?」 「え」 と、そこで。 昨日の男子、浜崎とかゆう奴がこっちを指差した。 そのせいでバスケ部全員がこちらに注目してくる。 「…なんでここに…」 黒田が目を逸らしつつ言う。 どうしよう…、迷惑、だった……? 「ごめん…、あの、戻るから!」 「ちがっ…」 「違うってー」 何か言おうとした黒田を遮ったのは、いつの間にかあたしたちの傍にいた浜崎。 「照れてるだけだって。そうだろ?黒田」 「ちがう」 「バスケしてるとこみられたくねぇんだろー」 「ちがう」 茶化すような口調の浜崎。 「そうなの…?」 真っ直ぐ黒田を見て、尋ねる。
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