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「私も、安心したよ~。由衣がいたし、実夏ちゃんとも知り合えたし」
どうやら不安だったのは皆同じらしい。
そうだよね。そういうものだよね。
誰だって不安なんだ…。
「あ、私の事は呼び捨てでいーよ!だから真衣って呼んでいい?」
「うんっ。いいよ」
「じゃあ真衣ね」
「うん、実夏」
よかった…二人とも楽しそうだし。
これから少しだけ、楽しくやっていけそうな気がした。
ドンッ!
やばい、集団で来ていた誰か一人とぶつかったみたい…。
「あっ…ごめんなさ――」
「邪魔なんですけど~」
折角謝ろうとしたのに、ぶつかった男は笑いながら馬鹿にする。周りにいる男の友達らしき人も笑っている。
「は…?」
「……すいませんでした」
あたしがその男を睨むと、意外にも男はすぐに謝って来た。
意外すぎる…。さっきのテンションはどこにいったんだこの人…。
そんなに今怖かったのか?
「…ははっ」
「…」
面白くてつい笑ってしまうと、男も薄く笑いながら席についていった。
初対面であんな……、不思議な人だ…。
まぁ、あたしも今凄く不審だったかもしれない。いきなり笑うなんて。
「なんか…変な人だったね」
「でもさ、由衣も十分変だったけどね。何で笑ったの?」
さっきから横で様子を見守っていた真衣と実夏が口を開く。
何で笑ったの…?
って、言われても。
あたしも分かんないな。何で?
面白かったから…かな。なんか不思議な人だったな。
男子、という生き物を怖いと思っていたあたしには、ちょっと意外で…。
ひ弱な男子も居るんだな…って思った。
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