28人が本棚に入れています
本棚に追加
「さぁね…。面白かったから」
「何それ?」
「変なの~」
「それより席戻ろ」
納得のいっていない様子の二人を席に座るよう促し、あたしも自分の席を確認する。…と、
「……あ」
あたしの隣に座っていたのは、さっきの男だった。
ぶつかった男…。
「あ、さっきのヤツ!」
「ヤツって…。あたしは由衣です。香川由衣…」
「そう。香川か」
失礼な男…。だけど人と話すのが苦手なあたしは怒れない。
さっきは何か自然に睨んじゃったから…、今度はそうはいかない。
「俺は黒田康。さっきはよくも睨んでくれたなぁ?」
男…黒田は目を大きく見開いて、こちらを見下ろすように引きつった笑いを浮かべた。
多分、わざとだろう…。
っていうか何こいつ。全然怖くない。
むしろ…、
「あはははっ!何その顔!面白い!怖くないしー!」
「はぁ~?怖いだろ!これは!」
「全然怖くない」
「何!?まじかよ…」
こんなに怖くない男子いるのか、ってくらい怖くない。見開かれた目が、面白すぎて。
初対面でこんなに笑ったの…はじめてだった。
最初のコメントを投稿しよう!