~序章~

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私は首を思い切り振って、顔にかかる髪と、マイナス思考を振り払った。 窓にポツポツと、ゆっくり雨粒が当たり始めたと思うと、途端にザーッと雨が振り出した。土砂降りだ。 (傘…持ってきて良かった!原稿を濡らしでもしたら、あの馬鹿上司にまた、こっぴどく叱られるな。) 小学生の頃から、雨が降る中で傘をさしながら歩くのが好きだった。 体格が小さい私は傘をさすと、まるでちょっと小さめのテントの中にいるようで、雨から守られている感じが落ち着くのだ。 雨粒が傘を叩く音も好きだ。
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