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明日香がこのような状況になる3時間前。
長いような短いような春休みが終わり、新学年での高校生活が再スタートした。
校舎に久々に入るとこれといっと変化はない。
だが、付近の高校よりも規模が違うことは確かだ。
下駄箱から少し見上げてみるとステンドグラスで美しく装飾されている校章が朝日に照らされて輝いており、教室に向かう廊下の窓越しには綺麗に整備された芝生と絶えることなく噴き出す噴水が見える、
校舎も新築のように綺麗である。
学校というよりも、教会や王宮に近い気がする、
「明日香きゅん!おはよー」
教室の入る直前に明日香はポニーテールの女子生徒に抱きつかれた。
「ちょっ!はなしなさい」
明日香は腰に巻き付かれた手を振りほどこうとするが、その細い腕に似合わない力でふりほどけない。
「明日香きゅんはサッキーの物なのです!離さないよ〓」
「紗季!いい加減に離して!」
「やだ〓」
明日香は離れないようとしない紗季を引きずったまま教室に入った。
「お!朝からラブラブっすね〓!!お二方」
教室に入ると窓側に座っている短髪のいかにも体育会系の男子生徒がニヤニヤしながら明日香達を見てきていた。
「カズ君に明日香きゅんは渡さないぜよ!!」
紗季がカズ君と呼んだ短髪体育会系男子に向かって舌を出した。
「いや、渡されても困るし・・・。それになぜ土佐弁?」
「気にしたら負けなんだよ〓カァズ君のまぁけぇ〓」
明日香はいい加減離せと思っているが、紗季はそれに気がつくことなくマイペースに話を続けている。
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