弱音ノート

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あれ？もしかして……。

ゆっくり、ゆっくり後ろを覗き込む。

机にうつ伏せで寝てる。

起きない……かな？

しばらく様子を見て

そ～っと歩く。

ロッカーまであと少し。

これは返さないと露木さんに見てるのがバレてしまう。

ロッカーまで来た！！

ガタッと机が動く音がして、私の体がビクッと反応する。

お、起きた？

いや……寝てる。

顔が、見えた。

年上かな？

大人っぽいし、カッコいい……。

夜間部なら年が上の人もいるだろうし。

いや……だから……それどころじゃない。

ノート返さないと。

ゆっくりと開けたロッカーは金属が擦れる音を小さく発した。

よし！

……あれ？さっきより教科書が増えてる。

増えた数学の教科書には、露木　和弥と書いてある。

この人！？

焦りと嬉しさとで、ぐちゃぐちゃになりながらもノートをロッカーに返して教室を出た。

あの人が露木。

あの人が、弱音ノートの持ち主……。

むやみやたらに鳴り響く心臓がうるさい。