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ずっとずっと前から凄く欲しいものがあって。
当時の私は小さな会社の事務員をしていまして、そんな安月給じゃ到底買えないものでした。
だから、笑顔を売りました。
夜の世界って、女の笑顔が高く売れるって聞いたから。
でも、私の笑顔は二束三文にもならなくて。
仕方ないから身体を売りました。
まあ…身体はそれなりに売れました。
でも、ナマモノですからね。
傷みが早くて。
何も売るものがなくなった頃。
8ケタの数字が印字されている通帳を握り締めて買いにいきました。
でも売ってはくれませんでした。
店主のババアにけんもほろろに追い出されました。
店番の小坊主どもはずっと私を睨み付けていて
愛する商品はカタカタと揺れているだけでした。
さて。
お代は見てのお帰りだ!
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