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去年の今日をアナタは覚えているだろうか。 終戦の日。 アナタが会いたいというので車を出したが、頭痛と吐き気に襲われ、少し車を流して送り届けた。 アナタはアジアンテイストの手提げ袋にコーヒーを2つと電子書籍とお笑いDVDを入れて私に渡してくれた。 その袋はとてもいい匂いがした。 電子書籍の使い方を私に聞きたかったみたいだが、パソコンが必要で私は持っていなかったので役に立てなかった。 コーヒーはチョコレートの味がしてココアが入っていたのかな。普段飲まないものだったので美味しかった。 いつか一緒に見たお笑い芸人さんにはまったアナタはDVDを買うことを同居人にたしなめられつつも買い、私に貸してくれた。面白かった。 アナタを送り届け、独り帰る車中、吐き気が激しく早く帰りたかったのだが、ちょうど地元の花火大会で道路は渋滞しなかなか帰れなかった。 激しい頭痛と吐き気のなか見た花火は決して美しいものではなく、苦痛でしかなかった。 アナタは覚えているだろうか。 アナタは知っていただろうか。 私がアナタを想っていたのは嘘ではないことを。
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