第5章 仲間

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40人程度の人が入るには広い広い教室。 その教室の隅にある俺の席からは教室全体を見渡すことが出来る。 教壇には朽木さん。 大半が真剣に朽木さんの話を聞いていることから、やはり話術の才能に秀でてると汲み取れる。 だが、そんな話術ですら俺の脳には通用しなかった。 「まあ、今日は授業はほとんどしない。俺は魔法学、戦闘学、専門だしな」 見た目の細身に問わず予想以上の筋肉質。 時より服の隙間から見える肉体を目の辺りにすれば、筋肉質と言うのも頷けるだろう。 服装は制服というもの。黒を基調としたズボンにワイシャツとブレザー。 午後から行う応用力適性調査は特別な戦闘着を着用するらしい。 昨日は指定のジャージだったんだけどな。 そして戦闘着の説明をしている時、朽木さんの表情がニヤケてたのは何故だろう。 逸れた思考を元に戻し、今日の予定を頭に浮かべる。 一時限目が魔法歴の授業。そこから昼までは午後の訓練に向けた準備。 俺は魔法歴の教科書の一ページ目を開いた。 「そこに書いてあるのは世界の歴史。読ませたりは面倒だからしねぇ。各自見といてくれ」 そう言って一つ欠伸を漏らす。 教師とは懸け離れた仕草。俺はその光景を尻目に教科書に視線を落とした。 世界の鎮静。その文字をタイトルにこの世界の過去の事が書いてある。 初めて目にするこの世界の歴史に俺は少なからず興味が湧いた。
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