219人が本棚に入れています
本棚に追加
/282ページ
40人程度の人が入るには広い広い教室。
その教室の隅にある俺の席からは教室全体を見渡すことが出来る。
教壇には朽木さん。
大半が真剣に朽木さんの話を聞いていることから、やはり話術の才能に秀でてると汲み取れる。
だが、そんな話術ですら俺の脳には通用しなかった。
「まあ、今日は授業はほとんどしない。俺は魔法学、戦闘学、専門だしな」
見た目の細身に問わず予想以上の筋肉質。
時より服の隙間から見える肉体を目の辺りにすれば、筋肉質と言うのも頷けるだろう。
服装は制服というもの。黒を基調としたズボンにワイシャツとブレザー。
午後から行う応用力適性調査は特別な戦闘着を着用するらしい。
昨日は指定のジャージだったんだけどな。
そして戦闘着の説明をしている時、朽木さんの表情がニヤケてたのは何故だろう。
逸れた思考を元に戻し、今日の予定を頭に浮かべる。
一時限目が魔法歴の授業。そこから昼までは午後の訓練に向けた準備。
俺は魔法歴の教科書の一ページ目を開いた。
「そこに書いてあるのは世界の歴史。読ませたりは面倒だからしねぇ。各自見といてくれ」
そう言って一つ欠伸を漏らす。
教師とは懸け離れた仕草。俺はその光景を尻目に教科書に視線を落とした。
世界の鎮静。その文字をタイトルにこの世界の過去の事が書いてある。
初めて目にするこの世界の歴史に俺は少なからず興味が湧いた。
最初のコメントを投稿しよう!