第3章 意味なき戦い

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「授業始めるぞ」 担任の面倒そうな声が、学校の裏手で轟く。 教室で一通り説明を受けた俺たちは、裏庭にある闘技場に集合していた。 今日はこの授業だけしか無いらしく午前で終わりらしい。 周りを見渡せば、皆担任の話を真面目に聞いている。 横にいるレイですら真剣に聞いているんだから、先生の話術は凄いとしか言いようがない。 「はあ‥‥」 そんな中、俺は誰にも気づかれないよう小さくため息を吐いた。 頭の中は昨日のことで一色に染まり、話しに集中することすらままならない。 結菜の怯えた表情。隠された過去を垣間見せる言葉。 頭の中に渦巻くのは、そのことばっかりだった。 テンションは下がる一方で、コンディションは最悪。 地面に手を付けるが思った以上に硬く、地面ですら俺を反発しているように感じた。
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