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みな、息を呑んでいた。
静寂が訪れ、風が木を揺らす音と、低く小さい笑い声しか聞こえなくなった。
突然誰かが叫んだ。
「いやだっ。死にたくない。死にたくない!」
そして何かに駆られたように走りはじめた。
人々の間をかき分け、逃げようとしたが無駄だった。
人が多すぎるのだ。
みながそいつを見ているなか、私は王様を見上げた。
喜びと狂気に血走った、醜い顔だった。
何かを王様は呟いた。
だが、私にははっきりと聞こえた。ただ一言。
「処刑だ。」
嘲笑うように処刑者を見て、大声で言いながら処刑者を指さした。
「罰だ。ギロチン台へ!!」
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