出会い

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中学1年ーーー春ーーー 私は真新しいセーラー服に袖を通し、市内の3つの小学校が校区の中学に入学した。 入学したらやりたかったこと…髪を伸ばすことと、近所の1つ上の幼なじみ愛ちゃんと同じソフトボール部に入部すること。 迷うことなく入部した私は、同じ新入部員達とともに連日練習…と言っても現実は、開始前道具を運び、先輩達が練習している横で顧問の先生からバットの握り方等の地味な基礎の指導を受け、ひたすら体力作りの毎日。新入部員はソフト部らしいノックやバッティング練習なんてまだまださせてもらえない… けど私は楽しくて仕方なかった。 それに練習後、道具を片付けた後、1年部員でトンボを引っ張ってグランド整備するのも結構好きで… 私達がトンボを引っ張っていると、いつもすぐ下の第2グランドで練習を終えた野球部の先輩達が部室へと帰って行く。 「ほら…2年のあの中で一番低い先輩と辻さん。付き合ってるんだって」 そう言う事に敏感なのは、小学校も同じ瞳。 「入学してそんなに経ってないのに?」 「辻さんがガンガンいったみたい」 同じ新入部員の辻さんは、大人しそうに見えるが案外押しが強いのかな? でも、そんな“付き合う”だなんだも憧れの一つの私達。 『へえ』と少し羨ましく思いながら、その野球部の先輩を眺めていた。 しばらく経ったある日ーーー 午後が一限少ないこの日、まだまだ新年度が始まったばかりで忙しいのか、顧問の先生方の都合で急に練習開始時間が遅くなってしまい、野球部もソフト部も着替えたものの開始までの時間をグランドに出て持て余しかけていた。 「あの先輩とうちのあの先輩、そして……」 瞳は野球部のどの先輩とソフト部のどの先輩付き合ってるかを既に全て把握していたようで、仲良く盛り上がっている先輩達を見ながら、鈍い私にこっそり教えてくれた。 どうやら、野球部とソフト部は代々仲がよく、愛ちゃんを含めて付き合ってる先輩達も多いようだ。 「野球するから1年もおいで」 いつの間にか話がまとまり、開始までの待ち時間に野球部対ソフト部で柔らかいボールを使って野球をすることになっていた。 (いいの?そんなことして) 校舎から見つからないように第2グランドへ行き、先輩達は試合を始めてしまった。 最初は戸惑っていた両部の1年部員も、楽しそうに野球をしている先輩達を見ながら何時しか応援に夢中になっていた。
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