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最後まで笑って別れた帰り、初めて瞳に言った。
「私…先輩のこと…大好きだった」
「もう、何でもっと早く言わないかな?ボタン貰ってあげたのに…」
悲しそうに私を見る瞳に首を振って言った。
「ありがとう…」
先輩は隣の市の工業高校へ進学する…だが同じ市内でも、通学に使う駅はウチからじゃ方角が違うから…
もう…会うこともないって
もう…これで会えないって思ってた…
先輩のいない寂しい学校生活が始まり、私達は3年生に…やがて部活も引退…次は受験だった。
秋ーーー
学校帰り、私は駅近くの塾へ向かっていた。
「かわり!」
懐かしい声に振り返ると、友人と一緒の先輩が手を振っていた。
(う…そ…)
入学当初、私と変わらなかったのに…久しぶりに会う先輩は、背が急に伸びて…少し大人っぽく、さらに格好良くなった…
「久しぶり。元気か?」
「はい。先輩、背…伸びましたね」
「格好良さアップしただろ?俺、バレー部入ったんだぞ」
懐かしく話し去り際…
「かわり…携帯あるか?貸せ」
私はカバンから携帯を出し先輩に渡すと、先輩は勝手に操作して私に返した。
「ほい。後でメール送るから」
目が点な私に『相変わらずブッサイク』って笑って手を振って行ってしまった。
固まっていた私は、すぐに来た先輩からのメールで我に返り、嬉しくて急いで瞳に連絡した。
それから塾の日に時間が合えば漫画を貸したり返したり…繋がりが出来たことが嬉しかった。
いよいよ入試ーーー
【頑張れよ。合格したら連絡して来いよ】
先輩のメールが御守りになったのか、私は合格した…
が、照れくさくて2日程メール出来ないでいた。
~♪
「もしもし」
『このアホ!俺“合格したら連絡して来い”って書いてあっただろ』
電話に出た途端に怒られた。
「いや…恥ずかしくって…って何で知ってるんですか?」
『恥ずかしいって顔かボケ!後輩に電話して聞いた…こっちが恥ずかしいわ』
「すみません…」
『ちょっと出て来れるか?』
私が言われた場所へ行くと、先輩は原チャリでやって来た。
「ん!合格祝い。じゃな」
先輩は驚く私に袋を渡し、行ってしまった。
帰って中を見ると、私の好きなブサカワキャラのぬいぐるみが入っていた。
そしてカードが…
《かわり おまえに似てブッサイクだけど、合格祝いだ おめでとう》
私は嬉しくて嬉しくて…
すぐにお礼の電話をかけた。
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