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ラストチャンス…
春ーーー
私は瞳と一緒の高校に入学した。
【入学おめでと。評価してやるから、写メ送ってこい】
先輩からのメールに喜び浮かれて、瞳に呆れられながら何度も撮り直し、やっと納得の1枚を送った。
【ブサ…似合わん】
はい…予想通りです…はい…
入学してすぐ、茶道部の先輩に捕獲され茶道部へ入部した。
大好きな本屋さんでバイトだって始めた。
忙しく過ごすことで、これ以上湧き上がる気持ちを紛らわせたかった。
「いらっしゃいませ…げっ」
しばらくして、偶然部活帰りの先輩が友達と買い物にやって来た。
「かわり?おまえ今『げっ』って言っただろ!」
「気のせいですよ」
「おまえ、何でここでバイトしてるって黙ってた!知ってたら……おまえにエロ本買わせるのに」
「それが怖かったんです」
笑う私達に先輩の友達が声を掛けてきた。
「何?彼女?」
(か…彼女…なんて素敵な響き…)
「ただの後輩」
(はいはい…アッサリ一刀両断…)
「ふーん。あれ?あんたソフト部の試合でよくウチの学校来てたよね?キャッチャーしてた。俺、野球部だったから見かけたわ」
その中の1人が、近づいて来てジロジロと私を見た。
「そ…なんですか」
「飛び抜けてブッサイクで目立ってたんだろ」
先輩の一言にみんなが吹き出した。
「ブサイクって…いやウチと試合の時に彼女見かけてさ。俺達…」
「ソイツにちょっかい出したら、打った硬球股間にぶつけられるぞ」
「何て事言うんですか!たまたまです!それに柔らかい球だったじゃないですか」
「ほら、俺らの学校のイケメンのピッチャーだった奴。アイツが余計なこと言ってコイツの怒りを買ったんだ。あれは恐ろしい光景だった…」
「ぶははは…」
結局、みんな何も買わず、笑うだけ笑って帰って行った。
(もしかして私がいたからエロ本買いづらかったの…?)
それからも、先輩や友達がちょくちょく買い物に来た。
でも、時々…見覚えのある女の先輩達が何人か混ざってることもあった。
(中学の時もよく一緒の所見かけたけど…まだ仲いいんだ…何かムカツク…あんまりくっつくな!)
その時の私は、きっと…店の中を仲良く歩く先輩達を見て、いつも以上にブサイクな顔をして睨みつけているハズだから…そんな自分が嫌だった。
だから、先輩に私の気持ちがバレないように…
いつも以上にブサイクに見られないように、無理して作って笑ってた。
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