ラストチャンス…

1/6

12人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ

ラストチャンス…

春ーーー 私は瞳と一緒の高校に入学した。 【入学おめでと。評価してやるから、写メ送ってこい】 先輩からのメールに喜び浮かれて、瞳に呆れられながら何度も撮り直し、やっと納得の1枚を送った。 【ブサ…似合わん】 はい…予想通りです…はい… 入学してすぐ、茶道部の先輩に捕獲され茶道部へ入部した。 大好きな本屋さんでバイトだって始めた。 忙しく過ごすことで、これ以上湧き上がる気持ちを紛らわせたかった。 「いらっしゃいませ…げっ」 しばらくして、偶然部活帰りの先輩が友達と買い物にやって来た。 「かわり?おまえ今『げっ』って言っただろ!」 「気のせいですよ」 「おまえ、何でここでバイトしてるって黙ってた!知ってたら……おまえにエロ本買わせるのに」 「それが怖かったんです」 笑う私達に先輩の友達が声を掛けてきた。 「何?彼女?」 (か…彼女…なんて素敵な響き…) 「ただの後輩」 (はいはい…アッサリ一刀両断…) 「ふーん。あれ?あんたソフト部の試合でよくウチの学校来てたよね?キャッチャーしてた。俺、野球部だったから見かけたわ」 その中の1人が、近づいて来てジロジロと私を見た。 「そ…なんですか」 「飛び抜けてブッサイクで目立ってたんだろ」 先輩の一言にみんなが吹き出した。 「ブサイクって…いやウチと試合の時に彼女見かけてさ。俺達…」 「ソイツにちょっかい出したら、打った硬球股間にぶつけられるぞ」 「何て事言うんですか!たまたまです!それに柔らかい球だったじゃないですか」 「ほら、俺らの学校のイケメンのピッチャーだった奴。アイツが余計なこと言ってコイツの怒りを買ったんだ。あれは恐ろしい光景だった…」 「ぶははは…」 結局、みんな何も買わず、笑うだけ笑って帰って行った。 (もしかして私がいたからエロ本買いづらかったの…?) それからも、先輩や友達がちょくちょく買い物に来た。 でも、時々…見覚えのある女の先輩達が何人か混ざってることもあった。 (中学の時もよく一緒の所見かけたけど…まだ仲いいんだ…何かムカツク…あんまりくっつくな!) その時の私は、きっと…店の中を仲良く歩く先輩達を見て、いつも以上にブサイクな顔をして睨みつけているハズだから…そんな自分が嫌だった。 だから、先輩に私の気持ちがバレないように… いつも以上にブサイクに見られないように、無理して作って笑ってた。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加