ラストチャンス…

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ああは返事したものの… ーーーウジウジ悩んでいるうちに2月に入ってしまった。 瞳の言いたい事もわかる。ただの先輩後輩なら何も言わなかっただろう。 (私が先輩を好きだから…) 中学からずっと、私と先輩との間にあったこと見てたし知っている。おそらく言わなかっただけで、私の気持ちもずっと早くから気づいてただろう。だからこそ…今の宙ぶらりんな私を心配し気の毒にも思ってくれてるんだと思う。 “このままでいちゃいけないの?”って思う私と“前に進もうかな…”って私とが存在するのも事実。 どうする?どうしたい?もう2月に入っちゃったよ…私らしいのって…どっち? バレンタイン前の土曜日ーーー 私は瞳の家におじゃました。 「やっと渡せるね…」 「えっ?」 知ってたんだ…ってより気づかれてたんだ。中2のバレンタイン…。『もらったから』って2人で分けて食べたチョコ…。不器用な私が溶かして型に入れて…下手くそなチョコだったよ…。 「だって…誰かが渡そうとしてるの見ちゃったんだもん」 ふくれる私を見て瞳は笑った。 完成したチョコは…さすが、お菓子作りが上手な瞳。こんなの私一人じゃ絶対無理…。ありえない! 一緒に買った箱に入れ、可愛くラッピング。リボンを一生懸命均等にまっすぐに…。袋はいかにもな派手なのは持つのが恥ずかしいだろうから、可愛いけど程よく地味め。 「ふふふっ。カホ、今すごく可愛い“女の子”な顔してる。カホって本当に可愛いんだから。先輩に…届くといいね…」 「うん」 「ねえ…私、カホ追い込んじゃったかな?」 瞳は心配気な顔をしたから『私は前に進むきっかけをもらったよ』って笑って返した。 そう…もう私は迷わない。これをラストチャンスだと思って…これで気持ちに一区切りつけるつもり。 瞳の家から帰り道、私は先輩にメールした。 【相談したいことがあります。14日会ってくれませんか?都合が悪いなら前日でもいいです】 すぐに返事が来た。 【14日いいよ。部活の帰りでいいか?】 もう、後戻り出来ない。かつてない程の緊張感が体を駆け巡り、反面冷静にこの件に向けて一心に精神を集中させている私… 決戦は14日。 あ、少しは可愛く見えるように、髪をどうして会おうかな?もし玉砕しちゃった暁は、腰まで伸ばした髪を切ろう。その時は、先輩を想う年月だけ伸ばしたこの髪とも綺麗さっぱりお別れしよう…
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