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「じゃあ、これ全部もらうわ。苦労させてしまったしな」
俺は、ふたりのやり取りをききながら自分の競泳パンツをさがしていた。
「あ、そうだな。競パンを買いにきたんだもんなあ」
「どんなのがいいのかなあ?」店員が俺に聞いてきた。
「うーん、別に好みなんていうのはないけど・・」
「そうか、じゃあこれなんかどうだろう?今人気あるよ、これ」そう言って箱から取り出しながら俺に見せたんだ。
「おお、いいじゃん。色もきれいし」
「でしょう?無地だけど、結構色が派手目でいいと思うよ。サイズもちょうどいいみたいだし」
「じゃあ、これお願いします」
俺は店員にすすめられるままに競泳パンツを買った。
支払いをし、ショップを出た俺たちは、近くの喫茶店に入ることにしたんだ。
「これ、さっきのやつ、今は製造してないらしいんだけど、使いなよ」と言って速水さんは俺に、紙袋をテーブルの上に出したんだ。
「ええ?」
「気を使わなくてもいいよ。無理いってさがしてもらったし、俺にはサイズが合わないしね。中丸くんのサイズだからちょうどいいじゃん」
「いいんですか?」
「いいよ。使って使って」
「じゃあ、遠慮なく、すみません」
俺たちは、しばらく世間話をし、喫茶店を出た。
「俺、一人暮らしだから、また遊びに来いよ」
「ええ、はい」
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