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葬式は行われなかった。
おじさんに遺族はいなかったのと、おじさんは家族の人に離縁届をしていたようだ。
自分のことなので、このことで人に迷惑をかけたくなかったんだろう。
なので、ただ事件と関係のない物だけが俺のところに回ってきた。
おじさんの遺言らしい。
おじさんは、死刑になってもうこの世にはいない。
でも、確かにしていたことはいいことではなかったが、悪い人じゃなかったと思う。
今はおじさんの家の残された荷物をまとめていた。
先ほども言ったように、遺族はいなかったので、近所の人ですることになったのだが、荷物整理をする気なのは俺だけなのだ。
まあ、殺し屋の荷物だから、誰もしたくないんだろう。
あの人の残したもののほとんどは警察が押収したので、荷物は少なかった。
荷物をまとめ終わり、それをスーツケースに詰めて、自室へ持っていく途中だった。
【?】
「…なた、……しい」
誰かのささやくような声が聞こえた。
さらに、俺の家とおじさんの家の僅か10歩程の間に、なにか、そう、空間のひずみというのが一番妥当な何かがある。
【悠都】
「これは…」
手を触れる。
また、声が聞こえた。
【?】
「…あなたを、待っています…」
すると、吸いこまれる気がした。
連れて行かれそうになり、必死に抵抗した。
しかし、
【?】
「あなたが、ほしい」
【悠都】
「う、うわぁぁぁぁっ!?」
俺は、空間のひずみに飲み込まれてしまった。
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