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なんとなく
俺は空を見上げた。
夏の空は雲が低く
その存在を主張するかのように目の前で大きく広がっていた。
何気ない日常
いつもの馬鹿な会話を交えつつ過ごす何気ない貴重な時間。
いつの間にか俺は
恋研が好きになっていた。
蓮『さてさて
それじゃあお昼ご飯でもご一緒しませんかぁー?』
朋也『……まさかお前、まだ食ってなかったのか?』
蓮『あっ、はいっ!
朋也先輩を探すのに必死でお弁当を手に校内を走り回っておりましたですので』
なんてこったい。
朋也『俺達は
もう食っちまったぞ』
蓮『えぇぇっ!?
ま、マジですかあー?!』
昼休みが始まって既に40分は過ぎているのに、まだ食い終わってないヤツがいるならよほどトロいヤツだけだろ。
蓮『あちゃー……
あたしまだお弁当食べてないんっすよねぇ……』
トロいヤツ発見。
まこと『ふむ……
朋也、どうする?』
元はと言えば
俺の幼なじみであるコイツが原因で食べ遅れたようなもんだからな……。
朋也『昼休みが終わるまで付き合ってやるから、出来るだけハリーアップな』
蓮『朋也先輩達は食べ終わってるのに、お付き合い下さるだなんて……と、とんでもないですよー!』
朋也『昼休みが終わるまであと10分くらいだぞ』
蓮『あうぅー。
謹んでご一緒させていただきまあぁすぅ!!』
蓮は
律儀に何度も敬礼した。
朋也『わーったから
とっとと食え!』
夏に似合わない爽やかな風が屋上を駆け抜ける。
俺は蓮が弁当を食べる様を横目で見守りながら、無意識のうちに何か……暖かい物を感じていた。
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