4人が本棚に入れています
本棚に追加
(そろそろ戻らないと、カイルとキールにバレちゃう。)
オフィーリアは以前同じように一人でいるところを二人に見つかって、こってり怒られたのを思い出して肩を竦める。
「二人とも過保護すぎるのよね!外見に騙されちゃ駄目よ!怒ったら魔王様になっちゃうんだから!」
「へぇ。僕たちのことをそんな風に思ってたんだー。」
独り言をブツブツ呟いていたら、突如後ろから声が聞こえてきた。
しかも、ものすごく声色が低い。振り返らなくても分かる。後ろの方々には既に魔王が降臨しているのだ。
(やばいやばいやばい・・・)
オフィーリアは一気に体温が下がり、背中には冷や汗がつたう。
しかし、このままでは余計に彼らを怒らせるだけだ。
オフィーリアは意を決して振り返った。
「こんばんは、キールにカイル。こんな時間にどうしたの?二人も散歩・・・なわけないよね・・。」
オフィーリアは二人の表情を見て後悔した。
少なくとも、冗談を言える雰囲気ではない。
逃げ道はないと知って落胆した。それほど二人の説教は怖いのだ。
今までの事を思い出して血の引いた顔をしていると、不意にキールは声を立てて笑った。真夜中なので、そんなに大声では笑っていないのだが、突然笑い出したキールにカイルとオフィーリアはびっくりした。
「オフィーリア、僕たちは君の負担にはなりたくない。君だって一人になりたいことがあるだろう。でもね、僕たちは君の従兄妹である前に護衛だよ。何かあってからじゃ遅いんだ。だから、せめて行き場所ぐらいは教えてくれないかな?」
優しく諭すようにキールは言葉を紡ぐ。
流石の彼女も申し訳なくなってきた。
「君が何かに悩んでいるのは分かっているよ。これはカイルも同じことだ。でも、無理やりには聞かない。君が自分から話してくれるのを待っているつもりだよ。ただ、これだけは覚えていて。世界が君の敵になろうと、僕たち二人は絶対に裏切らない。まぁ、アーデル様とリュリシン様、そしてこの屋敷に住む者もそうだと思うけど。」
ね?とカイルの方を向く。オフィーリアも目をまん丸として見ている。
「勿論だよ。何があっても、オフィーリアの傍にいるよ。これから先もずーっとね。」
カイルも安心させるように、オフィーリアの頭を撫でながら微笑んだ。
(彼女は無意識に何かを怖がっている。だからこそ、今独りにする訳にはいけないんだ。彼女が打ち明けてくれるまでは絶対に。)
最初のコメントを投稿しよう!