1、 聖なる光に忍び寄る闇

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「そういえば、黒龍公と白龍公はどうした?昨夜から気配を感じないんだが。」 「あーなんか、二人とも自分の領地にすっ飛んで帰っていってたよ。賊やらなんやらが現れて大変みたい。」 んあーと間抜けな欠伸をしながらレクスターが答えていく。 「ふむ、珍しいな。三件も守護者の領地で争いが起き始めているのか・・。」 「三件も?」 「そうだ。お前の領地でも何者かが暴れていると報告書が来ているぞ。」 きょとんとした顔をしている彼を横目に、眉間に皺を寄せながらドゴールが淡々と話を進めていく。 「いや、俺聞いてないよ!」 「当たり前だ!お前、報告書類を全部俺に回してくるだろう!知らなくて当然。 これを機会に、自分の仕事は自分でしろ!」 ドゴールは手に持っていた資料をおもいっきり投げつけた。 怒り狂いそうな彼をどうどうと宥めながら、レクスターは資料を読み出す。 (んーなんだろう。何かが水面下で起こっているような感じがするなぁ。) 資料を片手に思考に思い耽っていると、不意に横から頭を叩かれた。 「今回のこと、偶然にしては出来すぎている気がする。もしかしたら、国内で何かが起きているのかもしれないし、我々は長く王都に留まり過ぎたのかもしれん。地方に行って、王国の現状を調べるいい機会かもな。お前はどう思う?」 「うーん、何と言うか・・。王都に守護者がいなくなるのはマズイんじゃないかな?」 「それはないだろう。王宮には親衛隊もいるし、王都内には騎士団もある。そもそも我々が常に在住しなくても、大丈夫な様にはなっているんだ。」 相変わらずの無表情で、レクスターを見ながら話す。もう彼には王国を見て回るというのは決定事項のようだ。 こうなったら、まだまだ新参者のレクスターには止めることが出来ない。 「んじゃ、王都を出る前にウンディーネ家のフィーに会ってくるよ。そのまま領地へ戻るから、ドゴールとはここでお別れだね。」 「あぁ。オフィーリア姫にもよろしく伝えといてくれ。あと、数日王都から離れることも。」
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