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(フィーのことになると、少しは表情が柔らかくなるんだなぁ。後が怖いから、口が裂けても言わないけどね。・・・それにしても、今回のことは無闇に王都から離れない方がいいと思うんだよなぁ。まぁ勘だけど。)
この後、レクスターの勘は見事に的中することになる。ドゴールの行動は、敵にとって好都合になってしまった。
しかし、この時彼らは知る由もなかった。
翌朝、レクスターはウンディーネ家を訪れた。
客間に通され紅茶を飲んでいると、遠くから良く知った足音が聞こえてくる。
「レクー!お久しぶり!お仕事はいいの?」
ドアを勢い良く開け、レクスターに抱きつく。
「おっ、フィー元気そうだね。これから仕事で王都を出なくちゃいけないんだよ。だから、一目フィーを見ておこうと思ってね。ドゴールもよろしく言ってたよ」
「えー、四龍のみんないなくなっちゃうの?もうすぐ誕生会があるから、みんなを招待したかったのにー!」
ほっぺをぷくっと膨らませる仕草はとても可愛らしい。
(こりゃーアルバート兄弟も大変だわ。)
おもわず、二人の顔を苦笑いになる。二人の溺愛ぶりは四龍の中でも話題になるほど有名なのだ。ちょっと彼女に近付こうとするだけでも、彼らがすっ飛んでくる。勿論、相手が四龍であってもだ。
「さて、フィーとも話せたことだし、領地に戻るかね。あっ、フィー!これをお守り代わりにあげるよ。」
そう言うや否や、淡い赤色の石をポケットから取り出した。
「これはね、俺の鱗で出来ているんだ。もし何かあったら、これに強く念じてみて?鱗を媒体にして感じることが出来るからさ。」
そう、レクスターの本来の目的はこの鱗を渡すことだった。
どうしても悪い予感がして仕方がなかったので、予防をはったのだ。
そんなことを知らないオフィーリアは『きれー!ありがとう!』と無邪気に笑っている。
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