4人が本棚に入れています
本棚に追加
「オフィーリア様、もうそろそろ剣術稽古のお時間です。」
いつの間に入ってきたのか、使用人が迎えにやって来ていた。
「丁度良かったね。さぁ、頑張って!打倒アルバート兄弟だろ?」
レクスターは、面白半分で前に噂で聞いたことをオフィーリアに問いかけてみた。
「うん!カイルには勝てるようになったけど、キールはまだ一度も勝った事がないの。今日こそは頑張るわ!」
思いもよらぬ彼女の答え。おもわず目を見開く。噂の事だけではない。彼女が口にした言葉。
『カイルには勝てる。』
そう、言ったのだ。
(年端もいかない女子がカイルに剣術で勝つだと?)
ありえない。そうレクスターは思ったが、目の前にいる女の子は揺るぎのない目で語っている。
(神に愛された子、か・・。)
ふっと笑うと、オフィーリアの髪を撫でながら、『頑張れ!』と言って部屋を出て行った。
それからあっという間に日が経ち、とうとうオフィーリアの誕生会が開かれることになった。
もしかしたら・・と期待してみたのだが、やはり四龍公達は自分の領地に留まっていた。
『はぁー正直めんどくさいなぁ。』
などと考えているのも頷けるほどの流石は高位貴族主催のパーティー。招待客も半端ない。
主役のオフィーリアの近くには常にアルバート兄弟が就いている。
以前リュリシンが頼んだ通りに、護衛としてしっかりと仕事をしているのだ。
「キール~。まだ挨拶回りはしなきゃいけないのかなぁ。」
若干疲れ気味のオフィーリアが尋ねる。
「そうですね。殆どの挨拶は終わったと思います。あとは、最後に皆様の前での一言のみでしょう」
「えー、そんなのあったっけ~?何にも考えてないんだけど・・・。」
いかにもやる気のない声の彼女に思わず苦笑する二人。
そんな彼女の元に、リュリシンがやってきた。
「オフィーリア。みんなにご挨拶なさい。そしたらあとは踊るなり自由にしていいよ。」
その言葉を待ってましたと言わんばかりに、彼女の瞳が煌めいた。
「わかりました、お父様。精一杯頑張ってきます。」
そう言うや否や、二人を連れて上座の中央に向かって行った。
最初のコメントを投稿しよう!