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キーン、ガッ、ガタン・・さっき暗くなってから聞こえ出した金属の小競り合いの音。
いつも聞いてきたから分かる・・・。あれは剣同士が出す独特な音だ。
怖い、怖い、怖い・・。
一瞬にして変わってしまった現状。いくら大人びたオフィーリアでも恐怖心には勝てなかった。
「お父様・・お母様・・」
頼りなくか細い声で呟く。足が震えて、涙で視界がぼやける。
とっさに物陰へ隠れたが、見つかるのも時間の問題だろう。
ガサッ、真後ろから音が聞こえた。あぁ、とうとう居場所がバレてしまった。
自分も他の人たちと同じように死ぬんだ・・。
そう諦めて目を閉じるが、一向に傷みがこない。
「フィー!大丈夫かい?もう分かっていると思うが、君の誕生日に奇襲。狙いは君だ。でも大丈夫だよ。僕もキールもいる。必ず守って見せるから。もう少し目を閉じていて。・・・すぐに終わらせる。」
オフィーリアはその幼い体を震わせながらも目を閉じた。
カイルが側にいる。キールも守ってくれている。自分には心強い味方がいる。
そう分かっただけでも安心出来る。それほど3人に絆は深いのだ。
そんな彼女をチラっと横目で確認すると、敵に意識を集中させた。
「この方を、ウンデーネ家のご息女と分かっての襲来か?誰の差し金だ?」
自分でも驚くぐらい冷めた声色だった。
しかし、相手は黙秘したままだ。そう簡単には口をわらない、手練れのようだ。
チッ、と舌打ちをした後、早く彼女を安全な場所へ移すべくものすごい速さで攻撃をしかける。
キールには劣るが、カイルも相当キていた。
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