1、 聖なる光に忍び寄る闇

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「今回は、二人にオフィーリアの護衛をしてもらいたい。」 威厳のある声で話し出したリュリシン。 事の顛末はこうだ。もうすぐ4歳になるオフィーリアには誕生会が控えている。 これがただの誕生会ならば、なんの問題もない。 しかし、オフィーリアは生まれてすぐにカトライナ王国の守護者である四龍公の加護を得た。これは次期国王、つまり王太子の資格を得たのだ。 カトライナで国王は世襲制ではない。建国時代から、この国を守護している四龍公から加護を得た者が、次期国王になるしきたりだ。 ただでさえ、公爵の子としても狙われやすい立場なのに王太子の身分まであるとますます狙われやすくなる。 しかし、アルバート兄弟には疑問点があった。 『リュリシン様、オフィーリア様はまだ王太子とは明かされていないはずでは?』 ―そうなのだ。国王の器が誕生したことは本人が5歳になるまで国民には伏せられている。5歳になると王宮に呼ばれ、そこで初めて明かされる。そして王宮で暮らすようになり、政治や武道、勉学といったものを教えられていくのだ。 5歳までの年月は、本当の両親との時間を慈しむ為に設けられたようなものである。 ウンディーネ家ならまだしも、平民から誕生した場合、両親は会う事すら出来なくなる。5年と言えど短く感じるだろう。しかし、それが決まり事なのだ。 だからこそ、疑問に感じた。 (護衛するのは勿論の事だが、何故、念を押されるほど厳重にしなければならないのか。) 二人は年齢の割には愛くるしい目を上目遣いで、さらに首を傾げながらという思わず抱き締めたくなる様な格好をして『何故?』と目で訴えてきた。 流石のリュリシンも「うっ・・」となったが、そこは大貴族である。ひとつ咳払いをして、もち直し兄弟を見つめる。
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