サトリ

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「ケイ、またひとりで本読んどんかいな」 「なんや、たっちゃんか」 「なんやてひどいな。隣のクラスから遊びにきたったのに」 「来いて言うてへん」 「相変わらずやな。ツレおらへんのかいな」 「おるよ。たっちゃんやろ、ミキやろ、しのやん、ダバダ、こーすけ」 「全部、中学からの奴ばっかやんか」 「せやな」 「高校でつくれや」 「べつにええやん。ウチには十分や」 「だいたい、お前怖いとこあるからな」 「なにそれ」 「お前、話するとき相手の目ぇのぞくようにして。『なんで嘘つくん』とか言うやろ。あれが怖いんやて」 「しゃーないやん。癖やもん」 「ピッタリ当たるから余計に怖いんやな」 「怖かったら嘘つかんかったらええねん」 「せやけどなんでそんなことすんねん」 「なんでって癖やなぁ。ウチのおとんに『目を見て話せ』言われてたから、見るようなって。いつやったか覚えてへんけどなんか、嘘言うてるときが分かるようなって。そのうち、だいたい何考えてんのかも分かるようなっとった」 「ほんまか」 「で、嘘ついとる奴にそこついたら、慌てるんがおもろいねん」 「うわ、こんばばや」 「うっさいわ」 「でも、俺らにはせえへんな」 「やって、あんたら嘘つかへんやん。わざわざ見る必要ないやん」 「たまに嘘つくで」 「でも、騙そうとかちゃうやんか。話おもしろしたろとかやん。やったらかめへん」 「そんなもんか」 「そや」 「……」 「……」 「なあ」 「まだなんかあるん」 「俺がいま、何を考えてるか分かるか?」 「目を見たら分かるわ」 「じゃ、見ろや」 「めんどいなぁ」 「ええから」 「しゃーないなぁ」 「……」 「……」 「なぁ、顔赤いで」 「か、からかいな!」
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