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4時を過ぎた頃だった。
携帯の着信音が7畳の部屋に鳴り響いた。
ディスプレイを見ると『ルミ』と表示されている。
俺は電話にでるのを一瞬ためらった。
なぜなら今日、一緒に映画を観に行く約束をしていた事を思い出したからだ。
「もしもし…」
「ちょっと!今どこにいるの!」
「えっと…まだ家…かな…」
「はぁ!?タケルが映画観たいって言ったじゃん!私はもう新宿で30分以上待ってるんですけど!」
「ホント悪い…夕べ飲み過ぎちゃって…これからすぐ向かうよ。だからさ…」
「ツーツーツー」
俺が話している途中で電話が切れた。
ルミとは2年くらい前に付き合い始めた。
正直、俺の一目惚れだった。
その時彼女は居酒屋でアルバイトをしていて、俺は友達数人とたまたまその店で飲んでいた。
最初は気付かなかったが、友達のひとりが「あの店員可愛くね!?」と言ったので、指差す方を見ると彼女が忙しそうにテーブルを片付けていた。
彼女の横顔にドキュンした。
‥
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