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『優勝したら――』
耳元で囁かれた台詞が何度も美穂の頭の中で繰り返される。
「ど、どうしよ!?」
顔を真っ赤にして呟く美穂の声は誰に届くことも無く雑多な音にかき消されて。
館内の床を複数のシューズがキュッと鳴らす。
審判はボール片手にセンターへ。
するとシューズ音は止み館内も一瞬の静けさを取り戻し、美穂はハッとして顔を上げた。
甲高いホイッスルの音、
審判の手から高く放られるオレンジのボール。
それを合図にすべてが動き始めた。
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