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十二回目。 何が、と問われたら俺が地面に伏せった回数だ。
勿論草っぱらに寝転がって昼寝した事は何度もあるし、必然的に『ただ』地面に伏せった回数ではない、と言う事はお分かり頂けるだろう。
では何が原因でこうして仰向けに蒼く澄んだ空を見上げているのか。 それを話すには少々時間を要する訳で……。
「くぉらぁぁ! いつまでも寝て無いでとっとと起きんかぁぁ!」
と、そこまで脳内言語で独りごちたところで前方、今の俺の主観的な表現で言えば下方から、肝が冷える怒鳴り声が飛んでくる。
嫌々顔だけ起こしてそちらに目を向ければ、そこには陽光のようにキラキラした髪の女の子がいた。
パッチリした二重の碧眼にセミロングの金髪ストレート、歳は俺と同じく十六、身長や体型は同年代の女子の平均、もしくはそれをちょびっと上回るくらい。
身に纏うのはTシャツハーパンに革の胸当て、そして『身の丈を優に超える幅広厚刃の大剣』。 まぁ特別変な格好ではない。
と言ってもそいつ以外に周り人影は無く、さらにそいつは俺を眦を吊り上げて睨んでおり、結論を言うなら今の大喝は彼女が出したものであって。 俺は深く深ぁーく溜め息を吐いて上体だけ起こす。
「何で俺がお前の修行の相手をしなきゃならねぇんだよリリア。 そんなに強いなら山籠もりでもして熊とかを相手にしてろよ」
「あんたねぇ! 幼なじみの女の子を一人山に追いやるとか、どんだけ鬼畜なのよ! それにあたしの修行じゃなくてお互いの修行でしょ!?」
いつもの事ながらギャーギャー煩い。 こいつ──リリア=グランレードは、事あるごとに俺を「修行」とやらに駆り出すのだ。 揺れる乳や形の良い尻を見れる事を差し引いても良い迷惑である。
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