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だから毎回毎回俺が懇切丁寧に「迷惑だ」と一言言っているのに、何故か問答無用で襲いかかってくる。 お前は闘牛か。
「だからさぁ、俺なんかじゃ役に立たないっつの。 俺じゃ何度ブッ倒しても経験値の足しにもならんぞ? スリャイム並だぞ?」
あの大剣の一撃を辛うじて受け止め俺を守ってくれたマイベストパートナーこと、ショートソードのジョー(今命名)を拾い上げ、嘆息しながらリリアに言ってみる。
だがリリアは眉をキリキリと吊り上げて目元を引きつらせるだけで、効果は無いようだ。 と言うかこれはリリアクライ(=大喝)が飛んでくる予兆だ。
「あんた卑屈になるのも大概にしなさいよ? あんたは世界でも極少数、なる事すら困難と言われる『到達者』の一人なのよ!? それが役立たずな訳無いじゃない!」
予想違わず大口径攻城砲のような迫力を伴って放たれた大喝に、思わず肩を竦ませる。
そう言われても無理なものは無理だし、役立たずな事は役立たずなのだ。 『無理なものは無理』、これはこの世界において絶対だ。
だから俺は聞き分けのない子供に接するように寛大な心を展開してニッコリと微笑みを浮かべ、リリアに語りかける。
「無理なモンは無理だから諦めろメスゴリラ」
「誰がメスゴリラだぁぁぁぁッ!!」
だと言うのにリリアもとい野生?のメスゴリラは憤怒の形相で大剣を振り上げた。 おかしい、事実を言っただけなのに。
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