過去の男

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「浩樹‥」 ファーストフード店の片隅 背もたれに寄りかかり ぼんやり‥ している浩樹をみつけた 走って息が‥ハァ、ハァ弾んたまま 前の席に座る 「萌夏‥ 走って来てくれたんだ 」 うつむいていた視線を 萌夏に移し、 嬉しそうに微笑んだが 瞳は‥悲しい色をしている。 「フウッ。良かった‥ ここで待っていてくれて。 …大丈夫? 」 「あぁ。」 萌夏は、温かい飲み物を ふたつ買って 浩樹の前にも置いた 「サンキュ。」 寒いのに‥ずいぶん薄着だ 家‥飛び出して来たのかな‥ どれぐらいの時間 そこにいただろうか‥ 「出る?」 浩樹が立ち上がった。 「寒っ! ゎあ‥雨が雪になってる」 外に出ると チラチラと雪が舞っていた 「浩樹、そんな薄着で寒いでしょ?」 「ぅ…寒い。」 浩樹は、歯をガチガチいわせて 震えながら苦笑いしている クスッと萌夏が笑って 浩樹の手を握った 冷たい手‥ 今の浩樹の心の中みたい‥だ 「寒く‥ないとこ行かないか?」 浩樹がポツリと‥言った。
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