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そんな時、誰かの足音が少女の耳に飛び込んできた。魔物が戻ってきたのかもしれない、と思ったが、少女は疲れきっていて立ち上がることが出来なかった。
「おお、まだ生き残りがいたか。サボって来て正解だったな」
その声に、少女はちらりと視線を上げると、青褐色の肌をした一体のオーガが視界に映った。
「何かちんまくて食いごたえがなさそうだが……ま、ガキの肉は柔らかくて旨いから我慢するか」
「…………ッ!」
オーガが自分に何をしようとしているのか悟り、少女は強くお守りを握り締めた。
(たすけて……こわいよ、おとうさん、おかあさん……!)
オーガが手を伸ばし、少女の腕を掴もうとする。
次の瞬間、轟音が響いた。
それと同時に、目の前にいたオーガの姿が消えた。
代わりに、身の丈と同じぐらいの長さの大剣を担いだ、無精髭を生やした男が少女の前に立っていた。
「―――生きてるかい、少女?」
男は、不遜な声音で少女にそう訊ねた。
「この村は数ヶ月前に壊滅したって聞いたんだがな……まさか生き残りがいるとはねぇ」
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