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「……おい、そこの人間。死にてぇのか?」
男がぶつぶつと呟いていると、横から先程のオーガが声を掛けてきた。そのことから、先程オーガが消えたのは男が何らかの方法で吹き飛ばしたからだと少女は気付いた。
男はオーガの方へと視線を向けると、
「おーおー、さすがはオーガ。殴っただけじゃ死なないよなぁ」
「はっ、人間ごときのパンチで死ぬかよ!」
「だよねぇだよねぇ。タフさと怪力だけが取り得だもんな」
「て、てめぇ……俺たちオーガを馬鹿にしてんのか!?」
「いや? 俺はただ事実を述べただけだが?」
自分よりも二倍近い体格を持つ相手に対し、不遜な態度を崩さず、むしろ挑発さえしている男。少女は世間をあまり知らないが、それが如何に無謀なことか感覚的にわかった。
「たかが人間のクセに吠えやがって……」
「弱い犬ほどよく吠える。語る豚ほど死にやすいってね。―――御託は良いから殺り合おうぜ? その方が手取り早いだろう?」
「……、それもそうだな。さっさとお前を殺せば、早くそのガキを食えるってもんだ」
「それ、フラグだぜ」
男は鼻で笑うと、背に担いでいた大剣を一息に抜き放ち、それを構える。
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