prologue

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 それ故に、四大貴族は人一倍にプライドが高く、幼い頃から子供に魔術の英才教育を施し、子供を誰よりも優れた人材を作り上げようと躍起になっている。  しかし、この少年―――ヴィルヘルム・メドラウトは、純血の貴族でありながら、人並み以下の魔力しか持っていなかったのだ。  名家に生まれた、凡人以下の魔力しか持たない子供。  ヴィルヘルムが生まれたことを知ってるのは父と母。そして出産を手伝った従者と助産師のみ。プライドの高い貴族であるメドラウト家は当然、ヴィルヘルムを『メドラウト家の恥』とし、捨てようとした。  ―――だが、 (……父が、助けてくれた)  ヴィルヘルムは確かに出来損ないであった。しかし父は、初めて持った自分の子供を出来損ないだからといって簡単に捨てるほど、薄情ではなかった。  当然、母はすぐにヴィルヘルムを捨てることを望んだ。元々、父の権力と地位を狙って結婚を申し込むような人であったし、自分が生んだ子供がそれを失墜させるような出来損ないとあっては、耐えることが出来なかったのであろう。  しかし父はそんな母の意見に対し、「魔術師は無理かもしれないが、騎士にならなることができるかもしれない」と言って、ヴィルヘルムを捨てず、騎士として育てることを望んだ。 .
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