【1】勇者、拾われる

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 全員黒の学ランを着崩しており、モヒカンなり、剃り込みなりを入れている奴らが、一斉に路地裏に雪崩れ込む。全部で六人。  相手をしてもいいが、荒義は妙なトラブルは避けたいので逃げることにした。  路地裏を抜けると、日曜日の午後二時の太陽が荒義の頭上から射してくる。道路を挟んだ向こう側に高速道路があり、周囲はフェンスで囲まれていた。どうやら空き地のようだ。  管理がなっていないのか、雑草がそこかしこに生えていた。もちろん不良と荒義以外の人影は見当たらない。助けを呼ぶことはできない。  暑くもなく寒くもなく、絶好の天気だ。こういう時は喫茶店でゆっくりと午後のティータイムを満喫したいものだ、と荒義は溜息をつく。 「あーあー、結局コレかよ……」
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