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萩原は気を失ったのか、彼の身体は体勢を崩したまま地面に落ちた。土煙が薄っすらと舞う中、荒義は面倒くさそうな表情で、
「まだやる気か?」
不良たちは返事もせずに一瞬で逃げ出した。逃げ足だけは速い。
残ったのは荒義と、地面に倒れこんだ萩原のみ。ふと、萩原のズボンのポケットに入った携帯電話がブーブーと震える。
マナーモードだった模様、今どき感心な不良だ。
そのバイブを感じ取ったのか、萩原は目を覚ましてサッと素早く起き上がると、携帯電話を手にとった。
「あー京子チャン? うん、うん……今日遊べるかって? うん! 大丈夫だよ! 今行くよ、愛してるよ京子チャン! もう一度言ってくれって? 何度でも言ってあげるよ、愛してる! 愛してるよ、京子ちゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」
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