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いったい何人が犠牲となって、ここまで辿り着いたのだろうか。
少女の瞳には薄っすらと涙が浮かんでいた。フワフワとした長い金髪を靡かせ、幼さの残った小さな体を起こす。
全身に身に纏った灰色のプレートアーマーの胸部には焼け焦げ痕があり、左腕の部分は肉が引き裂かれたかのように抉れている。右手には少女の背丈と同じぐらいのロングソード、左手には鉄クズ同然と化した盾が。
蒼い左目には、死んだ仲間たちの姿が映っていた。
黒い右目には、倒すべき異形の怪物の姿が映っていた。
「許さない……」
少女の声は殺意に満ちていた。
崩壊した天井の向こう側から射してくる月の光、抉れた地面のタイル、そして建ち並ぶ荘厳な造りの柱たち。
周囲に倒れているのは、灰色のプレートアーマーを身に纏った騎士たち、少女の仲間だった者たちだ。
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