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「ハッハッハッ、無駄だっての! さっさとその左眼を抉られろって!」
高笑いする怪物、だが次の瞬間、怪物に向かって雷の刃が振りかざされる。怪物は少女の右腕を離すと、その雷の刃をバックジャンプで緊急回避した。雷の刃の主は、少女の前に立って、
「全てだと? まだ俺がいるんだけどな!」
その声は自信に満ち溢れた少年のものだった。
「ア……ラギ……?」
「ああ。回復魔法使ってたから、少し遅れた。ごめんな」
アラギと名乗る少年は、漆黒のローブを纏い、右手には先程の雷の刃を発生させたであろう、膝丈ほどの長さの金色の杖を持っていた。
艶のある黒髪、その前髪から覗く瞳は優しげなものであった。
回復魔法を使っていたとはいいものの、傷口は完全に閉じていないようで、左肩には鮮血が滲んでいる。
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