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「……とはいえ、もう魔力がねーな。俺が囮になっている間に、奴にそのエクスキャリバーをぶち込んでやれ……」
「え……そんな……アラギ、死んじゃうの?」
「死なねぇッて。ただ、少し無茶をするだけだ。いくぞッ!」
アラギは金色の杖を怯んだ怪物に向かって投合した。杖は怪物の頬を掠めると、抉れたタイルの地面へと落ちる。
瞬間、間合いを詰めたアラギの拳が怪物の顔面に打ち込まれようとする。
しかし、怪物は拳が顔面に到達するよりも早くに、アラギの右胸にその鋭い爪を抉るように突き刺した。
肉が抉れるグロテスクな音、そして滴る鮮血。
「どうしたァ、最強の魔術師さんよォ。魔法は使わねぇのか?」
「あいにく魔力が空っぽでさ。お前らとは違って、俺らは溜め込まなきゃ使えねぇんだわ」
「ヒヤッヒャッヒャァ! そりゃあケッサクだなァ!」
「だけどよ……この手は離さねぇぜ?」
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