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「ッたく……どうして追っかけてくるのかなぁ、あいつらは」
青いブレザーを着た黒髪の少年は、薄暗い路地裏で独り呟いた。艶のある黒髪、その前髪から覗く瞳からは焦りが感じられた。
昼間だというのに、周囲の建物が大きいせいか、太陽の光が全く入ってこない。
少年は灰色の壁に背中を預けると、静かに嘆息し、荒くなった息を整えさせることに集中した。
少年は先程まで不良十人組に追いかけられていた身だ。何故だかは少年も知っていた。
町一番の不良と聞いて、何もしない不良はいないはずだ。
とはいえ、少年はもう不良ではない。中学二年生のときに、とある理由で廃業した。今は普通の、ちょっとオタクな高校生だ。
それなのに、今でも襲い掛かってくるというのは……それほど魅力的な存在なのだということか。
「俺を倒しても経験値入りませんよー」
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