ある日

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「……マッチはいりませんか。」 だんだんと元気のなくなる声。 それもそうだ。 体を凍えさせるほど冷たくし、空腹で居るのだから。 「……マッチなんて、誰も買ってはくれないわよね。」 ぼそりとつぶやいて目の前を見ると、誰かが立っている。 「ああ、驚かせたかな? ごめんね、マッチを売っているんだよね?」 「……ええ。 いるの?」 少女は冷たく聞いた。 人間は信じられない子になってしまっていたから。 「うん。 マッチを一つ、ください。」 その客は笑顔で言った。 「………ええ。 どうぞ。」 驚きつつも、また冷たく返事をした。 「…ありがとう。 ……あ、ねぇ、名前はなんていうの?」 客が聞いてきた。
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