ある日

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「…レンは、帰らないの?」 リンは気になって聞いた。 「あ、もうこんな時間なんだ!! ごめんね、また会おう!!」 そう言いながらレンは走って行った。 「……また、か……」 そう呟いて、またマッチを売る…── ──はずだった。 けれど、今のままでは明日まで生きていられるかもわからない。 また、レンに会いたいのだ。 お金なんて稼がなくても、パンを食べたい。 パンを食べて、レンと笑顔で話をしたい。 ──レンへの想いは募り、知らず知らずのうちに、リンの家───自分の父が待っている家へ足は動いていた。 (生きていたい、幸せになりたい!!) 心に炎が灯った。 黄燐の炎が───
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